大橋謙策によれば、『憲法第13条、第25条などに規定された基本的人権を前提にして成り立つ平和と民主主義社会をつくり上げるために、歴史的にも、社会的にも疎外されてきた社会福祉問題を素材として学習することであり、それらとの切り結びを通して社会福祉制度・活動への関心と理解を進め、自らの人間形成を図りつつ、社会福祉サービスを受給していく人々を社会から、地域から疎外することなく、共に手を携えて豊かに生きて行く力、社会福祉問題を解決する実践力を身につけることを目的に行われる意図的な活動』《大橋の定義》と説明される。ただ、この説明では、社会教育的な視点が強く、上の位置から教育するという面がみられる。
それに対して渡邉は、より日常的な場面における福祉教育の構造的仕組みを構築する必要性を提起し、より具体的な生活場面の積み上げの場面における生活者相互に学習し合う行為や活動と説明する。それは、日常的な暮らしを主体的に捉えて「他者の中で生きぬく力」の醸成や、自然との共生意識の醸成を組み入れたものであって、「福祉教育・福祉共育・福祉協育」とに区分し、より世代間の伝承や体験的な死生観を組み入れた「暮らしの体験学習観」の視点を強調している。
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