[あいさつ]

渡邊洋一(地域福祉研究)「地域福祉とは?」
NPO法人地域福祉研究室pipi理事長 
前・青森県立保健大学 渡邉 洋一

 「地域福祉とは、自立生活が困難な個人や家族が、地域社会と切り離されることなく、日常的に安心した暮らしを営めるように、第一に、公的なサービスの包括的な展開と、第二として、相互扶助による近隣活動や、ボランティア活動・NPO活動によって支えられる政策と活動の総体のあり方である。そのために必要な物理的・精神的環境醸成を図ることである。また、企業など市場活動へも期待されている。さらに、社会福祉問題を超えて、社会問題(自殺予防など)にも取り組み、福祉の街づくりのための社会資源の活用、社会福祉制度の確立、福祉教育(共育・協育)の展開を地域社会を基盤として包括的に行う活動である」

 しかも、社会福祉と地域福祉の概念の峻別の課題がある。ここでは、地域福祉型社会福祉へと収斂している過程にあるとしたい。すなわち、地域福祉の枠組みは、社会福祉自体を変容させているという認識(地域福祉運動体認識)である。その基本には、「意識の認識に規定される地域福祉」と「存在の認識に規定される地域福祉」の両側面からも吟味する必要がある。この意識とは、主体を形成することであり、福祉教育(共育・協育)の展開が重要となる。さらに、この意識は、住民や当事者による主体的活動参加意識の醸成にある。さらに、福祉活動はすぐれて、人間的な行為であって、その根底に「こころざし」や「善意」という魂に根ざす心根が問われているからでもある。地域福祉は、コミュニティケアという具体的な地域を基盤としたケアの展開と、見守り活動や声かけ活動なと安心感を醸成する視点が基本にあって、「存在の認識に規定される地域福祉」という税のシステムとしての制度的福祉サービスや福祉の街づくりのハードの側面などだけではないからでもある。

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